乳歯の虫歯予防(フッ素による虫歯予防)

乳歯はいつ生えてくる?

乳歯はいつ生えてくる?

乳歯が生え始めるのは、生後6ヶ月頃からです。2歳頃になって、やっと20本の乳歯は生え揃います。

具体的には、生後6ヶ月から7ヶ月で下顎の乳中切歯(いわゆる下の前歯だと思ってもらって構いません)が生えてきます。8ヶ月から11ヶ月になると上顎の乳中切歯(上の前歯)が生えます。

また、10ヶ月から11ヶ月で下顎の、11ヶ月から12ヶ月で上顎の乳側切歯(前歯の隣の歯です)が生えてきます。乳犬歯(前歯から数えて二つ目、乳側切歯のさらに隣の歯、いわゆる糸切り歯)は、上顎下顎ともに、1歳8ヶ月頃に生えます。

第一乳臼歯(乳犬歯のさらにひとつ奥側の歯です)は上顎が1歳6ヶ月、下顎が1歳7ヶ月ごろに生えてきます。他の歯と違って上顎の方が先に生えて来ることの多い歯です。第二乳臼歯は、一番奥にある歯です。これは最後に生える歯で、2歳ごろになってやっと生えます。

乳歯時期の虫歯

乳歯はいずれ抜けて、永久歯に生え変わります。しかしながら、だからといって放っておいても大丈夫と考えるのは大きな間違いです。乳歯が虫歯になってしまうと、その下にある永久歯の成長に影響があります。

また、歯は通常一本ずつ生え変わり、まだ残っている乳歯や既に生えた永久歯が、壁のようになり、新しく生えて来る永久歯のガイドラインの役割を果たします。そのおかげで新しい歯はまっすぐ生えることができ、全体の噛み合わせや歯並びも正しいものになります。

しかしながら、ここで乳歯が虫歯により欠けたり腐ったりしていると、永久歯が変なところから生えたり、まっすぐ生えなくなってしまうため、歯並びがガタガタしたり、上下の歯がうまく噛み合わなくなったりしてしまいます。

したがって、乳歯のときから虫歯にならないように気をつけることがとても大事です。乳歯の虫歯予防法として、フッ素があります。

フッ素とは

フッ素とは、元素番号9番の元素です。電気陰性度が4.0と全元素中で最大であり、極めて反応性が高く、単体ではほとんど存在しません。

天然では蛍石や氷晶石などとして存在しています。単体が非常に強い酸化作用がある一方、化合物は非常に安定しています。人体のフッ素の主な摂取源は飲料水や動物の骨です。

また、以下に述べるように、虫歯予防の効果もあります。

フッ素の必要性

フッ素は、歯を強くし、虫歯を予防するために必要です。乳歯の時は、これから生えて来る永久歯のために、永久歯の時は、もう生え変わらない歯のために、虫歯予防が必要です。

毎日の歯磨きでは歯は強くならないため、多方面で歯を強くするフッ素による虫歯予防は必要です。

フッ素のはたらき

フッ素の虫歯予防の働きには、具体的には、歯質の強化、抗菌作用、抗酵素作用、再石灰化の促進などがあります。歯質の強化は、フッ素が歯に作用すると歯質が非常に安定した結晶構造を持つようになることによります。

また、抗菌作用と抗酵素作用はフッ素自体に備わっているものです。特に抗酵素作用では、虫歯菌の出す酵素によって酸が作られる過程を阻害するので、歯が溶けにくくなります。

再石灰化は、フッ素が唾液中のカルシウムやリン酸を歯にくっつけることです。これによって、初期の虫歯は治ることもあります。

フッ素による虫歯予防の効果

ヨーロッパやアメリカなどの口腔先進国では、水道の水にフッ素を添加したり、フッ素の錠剤を内服させたりして、子供にフッ素を日常的に摂取させることは常識となっています。

しかし日本では制度上、これらの方法をとることはできません。日本で可能なフッ素虫歯予防法は、フッ素入り歯磨き粉の使用、歯へのフッ素塗布、フッ素洗口の三つです。

フッ化物(フッ素の化合物のこと)を歯面に定期的に塗ることでは、虫歯の発生を半分から3分の2に抑えることができます。

また、他の虫歯予防法と併用することで、虫歯の抑制効果が大きくなります。フッ素洗口とは、フッ素で口をすすぐことにより、歯の表面にフッ素を作用させる方法です。

にほんブログ村 健康ブログへ