歯の治療はなぜ何度も通わないといけないのか?1度で終わらない理由
歯科医院が嫌いな理由として「あのキーンとした音が嫌い」「治療が痛い」などの他に、歯の治療回数が多いことがあげられます。
1回の治療時間はそれほど長くはありませんが、とにかく回数が多くて「何度も通うのが嫌だ」「面倒だ」「通う時間が無い」という方が多くいます。
治療回数が多いのは「お金儲けのため?」と思う方もいますが全くの誤解です。
治療の内容にもよりますが、歯の治療に回数がかかるのには理由があります。
今回は多くの皆さんが疑問に思っている、歯の治療はどうして回数がかかるのかを説明します。
虫歯が大きいほど回数は増える
歯の治療回数が全て多いわけではありません。
虫歯が小さければ白い詰め物をして、1日で終わる治療もあります。
ただ虫歯が進行して大きくなると歯を削る量が増え、型取りをして被せ物をする治療になります。
被せ物は歯科技工士さんに作ってもらうので、できあがりに日数がかかるのです。
最短でも2回通うことになり、被せ物ができあがれば専用の接着剤で装着して治療は終わりです。
虫歯が大きくて神経に達している場合は、神経を取って根っこの治療を行います。
根っこの治療になると一気に回数が増え、最低でも5、6回はかかります。
被せ物を作るには時間がかかる
虫歯の治療をして型取りしたものは、歯科技工士さんに作成してもらいます。
被せ物の種類は銀歯・セラミック・金歯・ジルコニアなど他にもありますが、作成期間が3~6日ほどかかるのです。
被せ物ができあがれば、来院して接着してもらうので通う手間がかかります。
セレック治療ができる歯科医院を選べば保険外治療ですが、白くて見た目が良い被せ物を一日で終わらせることができます。
セレックは削った歯の部分をコンピュータで読み取り、専用の機械がブロック型のセラミックを削り、白い被せ物を作成しその日のうちに装着できます。
値段は1本2~3万円ほどで見た目もよく、1日で終わるので何度も治療に通えない人に向いています。
お口を開ける時間には限界がある
1回で沢山の歯を治療して早く終わらせたいと言う患者様もいますが、治療時間が長くなりお口を開けているにも限界があります。
思っている以上にずっと口を開けているのは負担がかかり、歯の治療最中は何度かうがいをさせてくれて時々お口を閉じて休ませてくれるでしょう。
治療時間が長いと顎が痛くなり、患者様のお口はだんだんと閉じてきて治療ができません。
お口を開けている時間には限界があるので、治療本数が多い場合は分けて治療します。
詰め物、被せ物をした後は経過観察が必要
1回でたくさんの治療が困難な理由のもう一つが、詰めた歯、被せた歯の経過観察です。
神経が残った歯に金属の被せ物をした後は長い時は2~3週間程しみる症状が出ることもあります。
右の歯、左の歯、上の歯、下の歯、全部一緒に治療すると、治療後、嚙み合わせに違和感があっても患者さん自身がどこの歯に違和感があるのかわからなくなることもあります。
しっかり噛める部分を残して治療し、治療した部位はその後の経過観察をすることも大切なのです。
磨けていない人は治療できない
「虫歯だけ早く治してくれ」と言う患者様がいますが、虫歯になる人は磨き残しが多くあります。
プラークが歯に残ったままだと歯茎が赤く腫れる歯肉炎や、更に進行した歯周病になっていることもあります。
虫歯で痛い場合はまず痛みを取りますが、削って型取りをする治療は直ぐにはできません。
歯茎が腫れた状態だと正確に型取りができないのと、治療中に出血が多くて治療ができないのです。
磨けていない歯が多くて歯茎が腫れているなら、歯磨き指導をして自宅でケアしてもらうのと歯科医院でクリーニングを行い歯茎が健康な状態に回復してから治療します。
歯周病の治療は長期戦
歯周病の治療は歯磨き指導や生活指導と並行して、歯石取りが行われます。
歯肉炎の方の歯石取りは1度で終わることもありますが、歯周病の方の歯石取りは1度に全部の歯ができないので、回数を分けて行います。
表面に多く付いた歯石を取ると歯茎が少し引き締まり、歯周ポケット内の奥深い歯石も除去できるようになるのです。
少しずつ歯石を取っては歯茎の回復をみて、歯石取りの際に痛みが強い場合は麻酔をすることもあります。
歯石が除去できても歯磨きができていないと意味がないので、定期的な歯磨き指導も必要です。
虫歯の治療のように削って詰め物を被せるなど劇的な変化がないので、歯周病の治療は患者さんが見た目に良くなったか分かりにくく治療を頑張るモチベーションを維持するのが難しいのです。
歯周病の治療は回数も多く、途中で嫌になる患者様も多くいます。
保険治療にはルールがある
保険治療でできる治療には上限があるため、1回で出来る治療が決められています。
国で決められているため、歯科医院が勝手に変更するとルール違反になるのです。
決して歯科医が自分の都合でお金儲けのために、治療回数を増やしているわけではありません。
歯の治療はどうして回数がかかるのかについてのまとめ
虫歯や歯周病が重症化すれば、治療回数もお金もかかります。
特に虫歯は大きな虫歯になれば神経を取るので、治療回数もかなり増えます。
回数がふえれば時間もお金もかかり、患者様の負担が増えるだけです。
定期検診に通っていれば、病気の早期発見・早期治療につながり治療の負担も減ります。
歯は1度悪くなったら、自然に治ることはなく病気は進行するだけです。
治療回数やお金の負担を減らすためにも、痛くなる前に歯の検診を受けて下さい。
当院では、お子様連れでの来院も歓迎しております。
普段忙しくてなかなか病院に行けない保護者様も、是非1度歯の検診を受けてみてはいかがでしょうか。